ゲーム業界を目指す九州圏内の優秀な人材を確保・育成し、佐賀から最高のコンテンツとクリエイティブを世界に発信する
株式会社Cygames
佐賀デバッグセンター センター長
平岡 徹也 氏
佐賀スタジオ 代表 アートディレクター
六倉 千尋 氏
モバイルや家庭用ゲームの企画・開発、アニメーション製作などを幅広く手掛けるCygames(サイゲームス)。佐賀には、2017年にCygames 佐賀デバッグセンターを設立し、2020年には佐賀市に自社ビルを竣工。同時にCygames 佐賀スタジオを開設しました。佐賀から最高のコンテンツとクリエイティブを発信していこうとする同社の熱い思いを、佐賀デバッグセンターの平岡徹也センター長と、佐賀スタジオの六倉千尋代表にお聞きしました。
地方への進出を考えられたきっかけは?
平岡 ゲームなどのコンテンツを新しく開発していくなかで、新たなデバッグ業務の組織の必要性が生じたためです。デバッグとは、ゲームの配信前に不具合や欠陥などのバグをチェックする業務で、ゲームづくりの仕上げともいえる重要な業務です。以前は、東京本社で人手が不足する場合は外注をしていましたが、最高のコンテンツづくりに重要なデバッグ業務は外注ではなく、人材を育成しながら内製化したいと考え、第2のデバッグセンターを開設することにしました。
佐賀デバッグセンター センター長 平岡 徹也 氏
佐賀県を進出先に選んだ理由は?
平岡 当社の代表取締役社長の渡邊耕一の出身が伊万里市だったことがきっかけでしたが、進出の事前調査をしてみると、佐賀はさまざまな面でデバッグ業務に適していることがわかりました。情報系の教育機関が充実しており、安定的な採用が見込めたのです。しかも直接県内の大学や専門学校に赴いたところ、どの先生からも学生の「実直さ」「粘り強さ」の話があり、デバッグ作業に求められる資質に期待ができました。佐賀にはITやゲーム会社などの競合他社が少ないことも、九州圏の優秀な人材が確保しやすいという点で有利でしたね。
また、佐賀県・佐賀市の行政による手厚い企業誘致や、教育機関の支援と協力も一つの要因となりました。
六倉 九州圏内のクリエイティブの人材の確保と育成、優れたクリエイティブ制作を目的に進出をしました。大手で働きたいけれど、地域への愛着や家族の事情などで九州を離れたくない人がたくさんいます。そのなかには、すごい才能やポテンシャルを秘めた人もいるんです。佐賀に進出するのは、こうした九州の次世代クリエイティブ人材を開拓・育成する意味合いも強いです。
佐賀スタジオ 代表 アートディレクター 六倉 千尋 氏
佐賀県に進出して良かったことは?
平岡 人が入れ替わる外注デバッグと比べると、業務の効率とクオリティが向上し、結果的にコストも削減できていることです。佐賀の県民性として、実直さ、粘り強さがあり、責任感が強く、コミュニケーション能力が高い人が多いという点が、開発部門とのやりとりや、スタッフ同士の協力が欠かせないデバッグ業務に活かされています。
佐賀での事業展開は、佐賀県をはじめ九州圏の優秀な人材が確保しやすいですし、佐賀県内のイベント協賛など地域密着の活動を通じて、認知も拡大しています。佐賀スタッフのモチベーションや採用にも効果が出ています。
六倉 私は長崎出身なのですが、ここは私のように九州から東京などに出たものの、やはり九州に戻って仕事をしたい人も働ける場になります。佐賀は、全般的に暮らしやすいですね。会社に歩いて通える距離に安く家が借りられるし、コンパクトシティという印象で、市街地から佐賀空港も近い。土地が平らで、市街地でも多彩に変化する空が広がります。豊かな自然が身近にあり、クリエイティビティーが刺激される環境だと思います。
佐賀県での今後の展望は?
平岡 デバッガーには「コンテンツを最高の品質にする」という使命感、責任感が必要で、とてもやりがいのある職業です。その魅力をより多くの人に知ってもらい、将来的には当社から提供していくコンテンツはすべて佐賀でクオリティを確保したい。「最高のコンテンツを佐賀から世界へ」というビジョンのもと、佐賀を東京・大阪と並び最高のクオリティを発信するCygamesの重要拠点にしていきます。Cygames佐賀ビルが、若者が賑わい、活気溢れる新たな佐賀駅前のランドマークとなれればと思っています。
六倉 Cygamesとしては、初のクリエイティブ専門の独立組織として立ち上がった拠点です。東京と同じくゲームイラストやデザイン業務を行いますが、「最高のクリエイティブを九州から」をビジョンに掲げ、次世代のデザイナー・クリエイター育成のためにゲーム制作に必要な技術の講義や、学生向けのデザインコンペなども継続的に開催していく予定です。いずれは、佐賀発でゲームの企画・開発も目指していきたいと考えています。