伊万里から世界最高品質をつくり続けるシリコンウェーハメーカー。実直で勤勉な人材＋福利厚生で極めて低い離職率を実現
株式会社SUMCO
専務執行役員 生産本部長兼九州事業所長
宮地 政治 氏
パソコンやスマートフォンなどの電子製品に搭載する半導体の基板となるシリコンウェーハの製造大手、SUMCO（サムコ）。1975年に杵島郡江北町でシリコンウェーハの製造を開始して以来、現在も世界最高品質の製品を生産し続けています。国内外に拠点がある中、国内の連結従業員（派遣含む）約７千人のうち半数が佐賀県に在籍。県内で最も従業員数の多い企業であり、今後、新工場の増設も予定されています。また、従業員の働きやすさやモチベーションの維持にも力を入れられており、人材の高い定着率を誇るその取り組みについてもお話を伺いました。
地方への進出を考えられたきっかけは？
SUMCO九州事業所の前身は、九州電子金属という会社でした。1962年から尼崎でシリコンウェーハを製造していた大阪チタニウム製造（九州電子金属の出資会社）が、新たなシリコンウェーハ製造の生産拠点として、九州へ進出することを決定したのが設立のきっかけです。
佐賀を進出先に選んだ理由は？
九州におけるシリコンウェーハ生産拠点の進出先には、佐賀県以外にも当社の顧客となる大手半導体メーカーが多く立地している県が候補として挙がっていましたが、国などの優遇策が受けられる用地をご紹介いただいたことや、顧客先への交通アクセスにも優れていること、また何より佐賀県並びに江北町の熱心な誘致もあって、最終的に佐賀県を選びました。
佐賀県への進出を決定してから2年後の1975年に工場が操業すると、徐々に規模を拡大し、同じ佐賀県内の伊万里市東山代町の長浜に新工場を建設。1984年に稼働しました。そして長浜工場も拡張し続け、手狭になったことから、2007年に近隣の伊万里市山代町の久原に久原工場を建設しました。現在は、佐賀県内3か所の拠点で主力製品のシリコンウェーハを生産しています。
佐賀県に進出して良かったことは？
まず挙げられるのが、佐賀県に進出以降、優秀な人材を多数採用できていることです。九州事業所では本社採用とは別に、地元の工業高校などから毎年30〜40人採用していますが、佐賀の人たちは実直で勤勉ですし、配属後の指導員からの教育において、まじめに受け答えし、指導された事を確実に実行に移す人が多いと感じています。
次に、大規模な地震などの自然災害が少ないことです。大きな災害に見舞われることがなく、当社では安定的な操業が続けられています。
佐賀県、伊万里市や江北町などの行政の支援が手厚いことも挙げられます。補助金など各種優遇措置だけではなく、2023年後半からの稼働を目指す新工場の人材採用についても県と地元自治体の皆さんが一体となって支援していただいています。その他にも操業上必要となる高品質の工業用水を継続的に供給していただいており、そのおかげで佐賀県内に3か所の拠点を築くことができたと考えています。
佐賀県での今後の展望は？
近年、半導体の市場規模は拡大し続けています。スマートフォンに搭載するメモリや、今後普及が見込まれる電気自動車には、電子制御のために多数の半導体が不可欠です。デジタル化の進展による新たな需要も期待されます。
一方で、シリコンウェーハの中に作るチップは、10年前に比べてサイズが10分の1になるなど微細化開発が激しく、製品には厳しい品質が求められます。日進月歩の半導体の業界において、佐賀の拠点では最先端の優れたもの、ニーズに合うものをいち早く世の中に供給し、技術開発力の高い会社という地位を維持していくのが課題であり役割だと考えています。現在、伊万里市の久原工場の敷地内に建屋を増設し、生産能力の増強に向けて着手したところです。まだ手つかずのグリーンフィールドから計画通りに工場を立上げ、生産を開始する事は重要なミッションです。そのため、新卒だけでなく即戦力となる中途採用も合わせて優秀な人材の確保を進め、この佐賀の地から、高品質な製品の安定供給を目指していきたいと考えています。
佐賀の事業所での取り組みをお聞かせください。
当社は、優秀な人材の育成に力を入れています。現場のモチベーションを強化するため、さまざまな表彰制度を設けるとともに、従業員の努力と成果を適切に評価するため、報奨金制度を設けております。
また、人材の定着性も大きなポイントと考えています。その方策のひとつとして、例えば従業員が結婚・出産・育児後も働き続けやすくするために、伊万里市に佐賀県内で初の事業所内認可保育園を設置したり、柔軟に勤務時間を選択できる多様な勤務メニューを整備するなど、仕事と子育ての両立支援をしています。福利厚生にも力を入れ、離職率は極めて低いのが当社の自慢です。